<aside> 🔴 CoC「VOID」リプレイ小説の1シーンを、NPC視点で書いたSSです。 こっちは100%捏造、後付け。 NPCの解釈違いなど、色々自己責任でお願いします…。
</aside>
夕暮れに染まる部屋で、自分――RK400は、仕事をしていた。
室内に並ぶ、今のご時世珍しくなったアラーム付の時計やスイッチ式のデスクライト。それらはシンプルながら可愛げのないデザインで統一されており、入った者に男の部屋だという印象を与えるだろう。
家主の黒田八代は昼から出勤しており、そしてこの部屋の主であるケイは、BR800——有馬真二が放った新たな刺客に連れ出され、不在だ。
BR800は知らされていないようだが、パートナーとの連携強化だか何だかと適当な理由付けで黒田蛍を外出させ、その間に監視体制を強化するようにというお達しだった。
命令に従い、適当に部屋に盗聴器を増設しておく。こんなに置いてどうするのだと思うが、それ以上やることが特に無い。
(何でそこまでケイに固執するんだか。よく分からんね)
10年もの間自分をこの黒田家に潜入させておいて、今頃新たな手先のVOIDをケイのパートナーに付けるとは思わなかった。いくら何でも念を入れすぎではないだろうか。
BR800の詳細は知らないが、リボット社で何年もかけて開発・チューニングしていた機体だと言う。カタログスペックの高さだけでなく、何かしら仕込みがかけられているのだろう。しかし、少し会話した感じ、どうにもBR800自体は、自分が有馬真二の手駒という自覚が無さそうだ。一体どういうつもりなのだろう。
(ま、良いや。俺は旧型なりに仕事しますって)
瞼を下ろし、10年間の記録を脳裏で漫然と再生する。
黒田矢代の信頼を得てこの家に上がり込むまでは少々手こずったが、その後の任務の遂行はとんとん拍子だった。
なにせ、相手は今まで人の悪意にロクに触れてこなかったようなお嬢様だ。
傷付き、見えない悪意に怯えて外に出られなくなり、しかし孤独にも耐えられない彼女に付け入るのは容易かった。 遊び相手になってやりながら、少し優しい言葉をかけただけで信用し、慕情まで見せてきた時には、何て単純なのだと思ったものだ。
が、その後、突然断髪し、少年のような恰好をして、淡い恋心の片鱗も見せなくなった時には驚かされた。人間にはそんな切り替え方があるのか。
多少付き合い方を再考させられたが、それでも近い距離を保つのは簡単だった。 彼女が望むように、ケイと呼んでやり、男兄弟のように振る舞い、そして護身術として剣術を教えた。
(でもちょっと教え過ぎたかもな……技術だけならもう超えられてるだろ、俺)
ケイはよくできた弟子だった。